Interview 01

地域伴走型コンサル・さとゆめ
嶋田俊平さん

日本事務器が大切にしてきた、人と人・人とテクノロジーの「繋がり=Connected」について、挑戦者がその価値と可能性を語りあう企画。
第一回は、「伴走コンサルティング」の先駆けとして、日本各地の地域活性化やローカルビジネス創出に奔走されている、株式会社 さとゆめ代表の嶋田俊平さん(写真左)。そして、日本事務器より、農業生産者と青果卸業者を繋ぐデジタル業務システム「fudoloop」プロダクト・オーナーの高松克彦さん(写真右)のお二人による、地域やお客様と伴走する両者ならではの、情熱に溢れた対談が実現しました。

株式会社 さとゆめ
地域活性化や街づくりを通して、地域の課題を解決するコンサルティング、および、地域に賑わいや雇用を生み出すための支援を行う、ローカル・ビジネス・インキュベーター。全国50余りの地域創生事業に携わる。さとゆめが支援する長野県信濃町の森林セラピー事業を、日本事務器が社員研修として利用している「繋がり」がある。

https://satoyume.com

fudoloop
農業生産者と市場・青果卸業者をパートナーと捉え、共に収益性や持続可能性を高めるため、情報共有と業務改善を支援するサービス。日本事務器の専門部隊が、新規事業領域開拓の一手として2019年にローンチした。

https://fudoloop.njc.co.jp

なぜ、「伴走」か?

嶋田さん:私は、さとゆめという会社の代表をしておりまして、2013年に創業してちょうど10年になります。会社を創業する前は、9年間、環境や地域振興を専門にしている会社でコンサルタントをしていました。地域系のコンサルティング会社って、業界的に計画や戦略づくりなど、調査に特化した会社が多いんです。実際は動き始めてから見えてくる課題や、世の中の変化に合わせて方針を転換しないといけないこともあったりするので、なかなか形にならなくて。それで、計画や戦略をつくる・調査するだけじゃなくて、実際に形になるところまで地域に伴走したいという思いがどんどん強くなり、同じような思いを持っていた社外の仲間と一緒に、さとゆめを創りました。

高松さん:はじめまして、高松です。fudoloopというプロダクトのオーナーをしています。fudoloopは、生産者さんが青果卸に販売を委託する際、少しでも両者が利益的になるようなウィンウィンの関係を作るために、これまで需要と供給のバランスが読みづらかった出荷数状況のコミュニケーションをデジタル化する、というのがコンセプトです。
日本事務器では、お客様のご要望に合わせて最適なシステムを提案し、導入から定着、使いこなすまでを支援・サポートするというビジネスモデルがあります。
導入後もお客様がシステムを使いこなしていく過程をサポートすることで、次のやりたいことも当社が一緒に考える、というサイクルが我々のDNAになっています。でも、お客様がfudoloopを利用しようとなった時に、支援・サポートでは正直足りないと感じました。それは、今まで解決方法のシステム化がなされていない領域なので、お客様もやりたいことや課題を言語化するのが難しく、我々の答えも正しいとは限りません。「支援」より「伴走」という形で寄り添いながら、何が分からないかを一緒にやり取りしないと答えを見つけ出せないんですね。

嶋田さん:お話を聞いて、改めて「支援」と「伴走」って違うんだなと思いました。でも、本当にそうですよね。いわゆるアフターサポートに比べて、「伴走」の場合、ちょっとその域を超えますよね。
伴走っていうのは、与えられたものを解決して終わりじゃなくて、お客様がどこに行きたいのか、何を乗り越えないといけないのかを横で見ていて、それをお手伝いしていくことです。なので、次々と先が見えてきて、終わらない。100メートル走を伴走しているつもりが、なぜか1000メートルとか、気付いたらマラソンになっていたり障害物もあったり(笑)。
そこが多分、いわゆる一般的なサポートや支援と違うところかなと思います。多分、fudoloopさんも、常に新しい機能を強化されたり、お客様に、より大きな価値を提供するために改善を続けられていると思うので、そういうところが、まさに伴走されていると感じました。

高松さん:そうですね。fudoloopというプロダクト自体も成長させていかないといけないので、伴走支援という形でお客様への価値提供だけではなく、実は我々もそこでナレッジを貯めていくことができています。サポート支援を、あくまでもお手伝いという意味でとらえると、がっちり入る伴走では向き合い方が違いますね。

伴走者と主走者の関係性とは?

嶋田さん:コンサルティング会社だと、なんとかメソッドや、なんとか分析というのがあるじゃないですか。でも、我々にはそういうのがないんです。本当にコンサルティングメニューとか料金表とか特になくて。一個一個、地域の方々の夢や、こういう課題を解決したいという思いを、先入観なくヒアリングをして、少しずつ本質的な課題や、どういう需要を作っていきたいのかを聞いています。その時に一番重要なのは、問題を本気で解決したいと、地域の方たちが思っていること。それに僕らも本気で向き合うので、我々は普段、「そこに夢と情熱を持った人がいるから」伴走すると決め、そういう人を見つけるところからはじめています。

高松さん:それは、fudoloopとも共通していますね。やはり生産者さんも青果卸さんも、夢や情熱っていうか、このままじゃダメだから変えないといけないっていう思いがあると、明確な課題を言語化できなかったとしても、支援のやり方を紡ぎ出せますよね。
ちなみに、これまで伴走されてこられた中で、事業主体自体を押し付けてくるというか、「分からないから上手いことしてよ」と、丸投げされるようなことはありませんでしたか?

嶋田さん:本来我々は、あくまでも主走者がいる伴走者で、主走者が自走できるようになったら徐々に離れていくことを想定していました。でも最近、僕らが主走者になっているパターンが多くて。もう本当、コンサルティングの域を超えてきています(笑)。
でも、さとゆめのビジョンは、「すべての人がふるさとに誇りを持ち、ふるさとの力になれる社会をつくる」で、コンサルティングという言葉は一切入っていません。であるなら、必要であれば事業運営も、自分たちが勝手に決めた枠にとらわれずにやってもいいんじゃないかと。たとえばホテル事業でいうと、僕らが主走者になって、役場は伴走者なんです。役場の人たちが、僕らにすごい手厚い支援をしてくれるんです。ただ、村づくりという意味では、僕らは伴走もしてるわけです。だから、お互いが伴走者みたいな感じで。
fudoloopさんもそうだと思うんですけど、お客様の課題を解決するとか夢を叶える側面もありつつ、自分たちのソリューションだったり、サービスやシステムを育てるという軸もあるじゃないですか。そうした時に、お客さんはfudoloopを成長させるために伴走してくれているんです。いろんな課題を提供してくれたり、フィードバックしてくれたり。

高松さん:おっしゃるように、お客様から新しい課題をいただいて、その解決策をfudoloopというプロダクトに機能を実装させるので、そういった意味では、お客様にも育てていただいています。お客様が我々に伴走していただいているっていうのは、目線を変えればその通りだなと思います。

嶋田さん:伴走っていうのは一方通行ではなく、お互い伴走するところはあると思います。僕は伴走してるっていう意識もありつつ、自治体に伴走されてるという意識もあります。

お客様とより深く繋がるコツは?

嶋田さん:さとゆめでは、発注者・受注者とか、サービス提供者・お客様とかではなくて、依頼主と一緒に事業を作る一つのチームとしての空気感や、関係性の醸成を意識しています。変にへりくだらず、「私たち」とか「我々」というような言い方をしたり。一緒にこの目標を達成しようという関係を作っていく。それがないと、お互いに責任を押し付け合うようになるし、深い話ができないんです。

高松さん:単純かもしれないですが、自己開示ですよね。嶋田さんがおっしゃるように、受注者・発注者などの括りは取り払って、我々も真摯に、食産業の生産者さんと青果卸さんの関係性を学びたい。我々は農家でもなく市場も開設していないので、100%実体験としては分かっていません。なので、しっかりと自己開示をしながら、分かっていない部分については、変に知ったかぶりをせず、お客様に会う。そうすると、「だったらここは教えてあげよう」とか、「自分たちも実はね」という話になるので、その部分は気をつけています。

ゼロからイチをどう生み出すか?

嶋田さん:僕が前にいた会社もそうだし、世の中のコンサルティングの多くが、課題を聞くところから始まるんですよね。「どういうことに困っていますか」「何を改善したいですか」とか。でも、特に過疎高齢化人口減少の地域などは、もう課題しか出てこない。何から手をつけたら良いか分からなくなって、多くの課題を先送りしてしまうということが、ずーっと起こっているんです。
で、僕はある時、その「課題ドリブン」というのを、やめたんですよ。「夢ドリブン」にしてみた。「この街がどうなったら良いと思いますか」とか、「昔の賑やかだった頃の思い出や、人がいっぱい集まって楽しかったことはないですか」みたいな。
夢っていうのは、課題に比べると、そんなにいっぱいはないんです。でも夢は、共感を呼ぶ。「あ、私も」「私も」という感じで、色んな人が集まってくるんですよね。そうして、「もっとこうしていこうよ」「こうなったら良いね」みたいにアイデアを出していくと、勝手にやるべきことが見えてくる。もちろん、夢を実現するために課題を解決しないといけないんですが、課題解決というのは、あくまでも夢を実現するための手段なので。そうすると課題解決がある種、クエストみたいになって楽しくなってくるんです。

高松さん:なるほど。夢を実現するためのクエストに変わる。

嶋田さん:そうですそうです。マイナスが0になっても面白くないじゃないですか。マイナスがプラスになった方が良いですもんね。

高松さん:勉強になりますね。我々も、そのアプローチを目指してはいるのですが、どうしても今までの経験上「課題ドリブン」型の解決手法になりがちなので。「夢ドリブン」、早速いただこうかな。お客様の夢に対して、「だったら私たちがお手伝いできます」と話をした方が、確かに明るいですよね。

ふるさとのために、これからしたいこと?

嶋田さん:自分は、経営者であり、コンサルタントです。お客様のため、会社の組織のためにちゃんと頑張るというのはもちろんあるんですけど、やっぱり社会に何かしらの価値を残したいんです。簡単に言うと、ふるさとや地域をポジティブに捉える世の中にしたい。生まれたところを離れても、ふるさとのためにできることだってあるし。生まれたり育ったりしていなくても、自分が本当にその地域に愛着や誇りを持っていたら、そこはもう、その人にとってのふるさとだし、別にコンサルタントや行政が出なくたって、ふるさとの力になれることってたくさんあります。地域とか、ふるさとっていうものをポジティブに受け取れる、そういう社会を作っていきたいなって思っています。

高松さん:fudoloopでも、そもそも「食産業の人たちを元気にしたい」という想いがあります。立ち上げメンバー8名は地方出身者が多く、生産者が減って荒れ放題になってきている状況に、かつて見てきた田園風景を思い出し、お手伝いしたいという思いが生まれてきているんです。これからは、課題だけでなく、嶋田さんに今日教わった「夢ドリブン」を意識しながら、各地域の生産者さんに少しでも、利益的になるようにfudoloopのさらなる伴走支援を高速回転で回していきたいですね。地域ごとに課題は少しずつ異なるので、全部100%メソッド化はできないとしても、何か参考になる一本通ったものを提供しながら、伴走支援を顧客ごとにブラッシュアップしていきたいです。

アフタートーク
嶋田さん:実は、改めてご相談したいと思っていたのですが、困っている地方の現場がありまして。山形県の河北町というところでは、高齢化で農家の生産量が減っているなどの課題がある中、ある商工会の方が、日本で初めてイタリア野菜を産地化して、東京で街単独のアンテナショップを作って広めていきたいという、すごい熱い夢を持っていらっしゃいました。で、ぜひやりましょう、ということで、三軒茶屋に「かほくらし」というアンテナショップをつくり、都内200店舗ぐらいのイタリアンレストランなどへ、イタリア野菜を展開しています。ショップでは物流もやっていて、最近では卸も増えているんです。でも、作りたいものを作る生産者と、毎日定量欲しいレストランや百貨店の需要と供給のギャップがあって。「これくらい野菜を持ってきてくれないと、売り場を確保できません」と言われたり。そこのギャップをfudoloopで埋められたら、すごいなって。
高松さん:本当そこなんです。需要と供給のギャップと、思いが全然違う。そこを解決できたらめちゃくちゃでかいと思いますよ。ぜひ、お願いします!(笑)
アフタートーク
嶋田さん:実は、改めてご相談したいと思っていたのですが、困っている地方の現場がありまして。山形県の河北町というところでは、高齢化で農家の生産量が減っているなどの課題がある中、ある商工会の方が、日本で初めてイタリア野菜を産地化して、東京で街単独のアンテナショップを作って広めていきたいという、すごい熱い夢を持っていらっしゃいました。で、ぜひやりましょう、ということで、三軒茶屋に「かほくらし」というアンテナショップをつくり、都内200店舗ぐらいのイタリアンレストランなどへ、イタリア野菜を展開しています。ショップでは物流もやっていて、最近では卸も増えているんです。でも、作りたいものを作る生産者と、毎日定量欲しいレストランや百貨店の需要と供給のギャップがあって。「これくらい野菜を持ってきてくれないと、売り場を確保できません」と言われたり。そこのギャップをfudoloopで埋められたら、すごいなって。
高松さん:本当そこなんです。需要と供給のギャップと、思いが全然違う。そこを解決できたらめちゃくちゃでかいと思いますよ。ぜひ、お願いします!(笑)

対談終了後も、ふるさとへの溢れ出る想いが止まらないお二人。早速、次回のお約束をしていらっしゃいました。熱いセッションは、まだまだ続く様子です!