Interview 04

「顧客とベンダー」を超えた深い関係性から
生まれた新たな取り組み

十文字学園女子大学
お話を伺った方:十文字学園女子大学 教育人文学部 文芸文化学科 准教授 石川 敬史先生
インタビュアー:出雲井 亨
埼玉県にある十文字学園女子大学は、100年以上の伝統を誇る女子大学で、現在は人間生活学部・教育人文学部・社会情報デザイン学部から構成されています。NJCは2013年に図書館システムを納入し、2017年にはクラウド化を実施。またNJCは石川先生が受け持つ司書課程で連携授業も実施しています。

図書館システム導入に加え、連携授業も実施

私が十文字学園女子大学に赴任したのが2012年度で、ちょうど翌年に図書館システムのリプレイスを控えているタイミングでした。私はそれまでにも都内の大学図書館で複数回図書館システムのリプレイスを経験していたので、十文字学園女子大学でも仕様書をまとめる段階から携わることになりました。

そのとき、十文字学園女子大学は司書課程がある大学なのだから、単に発注元とベンダーという関係で終わるのではもったいないと思い「(システムを導入する)企業との連携授業を毎年実施する」という要件を入れました。学生にとっても、図書館システムを通した学びが得られるのではないか、と考えたのです。

この当時、システムの入れ替えは複数社でのコンペになりましたが、金額も含めた総合的な評価で日本事務器さんに決まり、それから毎年、司書課程の授業で講演していただくなど深いお付き合いをさせていただくようになりました。また2017年には図書館システムをクラウド化するというプロジェクトも実施しましたが、そのときも日本事務器さんにお願いしました。

日本事務器の印象は「記憶に残る人」

日本事務器さんの一番の印象は、「人」ですね。現場にいらっしゃる方だけでなく、役員の方にも大変よくしていただき、毎年秋に開催される図書館総合展でも必ずお声がけいただいています。ですから日本事務器さんと何かをしているというより「誰々さんと〇〇をした」「誰々さんとこれをした」という思いが強く、一人ひとりが「記憶に残る人」という印象です。すごくいい方々に恵まれ、システム導入にとどまらず連携授業や商品開発など幅広い取り組みができました。

なぜ「人」が印象に残るのか、と振り返ってみると、日本事務器の皆さんは自分をさらけ出す方が多いからかもしれません。趣味のゴルフやアメリカンバイクの話など、自分のことを包み隠さずさらけ出してくれる方が多いので親近感が湧くんですね。

またチームワークも抜群ですね。例えば、私の授業では毎年日本事務器さんの社内スペースをお借りして学生の発表をさせていただいていますが、そのときも我々が伺うことは事前に社内に伝わっていて、皆さん5分でも10分でも時間をつくってごあいさつにいらっしゃいます。社内の風通しがよく、情報がきちんと共有されているんだな、と感じますね。

すべてが思い出深いエピソード

現在利用している図書館システム「ネオシリウス・クラウド」。画面の配置や配色は学生たちが決めた

司書課程の授業の中では、日本事務器さんと一緒にいくつもの産学連携プロジェクトを実施し、さまざまな物をつくりました。例えば、読書を深めるカードゲーム、読書手帳、図書館などで書籍を運搬する台車「ブックトラック」などがあります。単なるシステム導入の枠を超えて、深いお付き合いをさせていただいています。

また図書館システムの画面構成も、司書課程を履修する学生たちが検討しました。どの要素をどこに配置するのかを考え、配色も自分たちで決めて仕様書に落とし込みました。他にも演習で使用する図書館システムのアカウントを学生向けに発行していただき、授業の中で学生たちが実際の管理画面を操作しながら学べるという取り組みにもご協力いただいています。いつも無理難題を温かく前向きに聞いていただけるので、とても感謝しています。

事前に思い出深いエピソードという質問をいただきましたが、振り返ってみると、すべてのエピソードが思い出深いですね。約10年間、すごく密なお付き合いをさせていただいていますので、毎年思い入れがあるエピソードが積み重なっています。それらが集まって森のようになったときに、どんな景色が見えるのか。今はまだ言葉では表せないですね。

十文字学園女子大学と日本事務器の産学連携プロジェクトでつくったカードゲーム(左上)、読書手帳(右上)、ブックトラック(下)

100年を迎える日本事務器に向けて。

「時をつくる」存在へ

これからの日本事務器さんのキーワードは、「時をつくる」だと思います。これには2つの意味があります。ひとつは、ベストセラーのビジネス書『ビジョナリー・カンパニー』(日経BP、1995)で著者のジム・コリンズが指摘したことですが、永続する会社を築くには「時を告げるのではなく、時計をつくる」ということです。太陽や星を見て正確な日時を告げることができる人は、多くの人の尊敬を集めるでしょう。でもその人が時を告げる代わりに、自分が世をさった後も永遠に時を告げる時計をつくれば、もっと人々に貢献できます。つまり、単に売れる商品をつくる(=時を告げる)だけでなく、価値を生み出し続ける組織や仕組みをつくる(=時計をつくる)ことこそが重要だということです。日本事務器さんが提供するサービスや製品は、素晴らしいものです。私が期待したいのは、そのサービスや製品を今後も提供し続けられる仕組みをつくっていただくこと、つまり「時計をつくる」ことです。これが「時をつくる」の一つ目の意味です。

もうひとつの意味は、これから「時間を共有する」ようなソリューションをつくることに期待したいということです。例えば、私は移動図書館の研究をしていて気づいたのですが、2週間ごとにやってくる移動図書館の利用者は、そのタイミングに合わせて本を読むというリズムができてきます。移動販売車なら週に2回巡回するのですが、そうするとその地域の方はその巡回のタイミングに生活のリズムを合わせるようになります。皆が一斉にテレビを見たり、ラジオを聞いたりという同時性が失われつつある現在、逆にそういった「時をつくる」存在が必要になってくるのではないでしょうか。そんな「時をつくる」システムも、今後日本事務器さんに期待したいと思います。

いろいろ好き勝手申し上げましたが、いつも日本事務器さんにはお世話になっておりまして、大変感謝しています。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

担当営業から:
石川先生はいつも独創的なアイデアを出してくださり、私たちもいい刺激を受けています。2017年に図書館システムのリプレースをご提案した際は、授業の中でプレゼンテーションすることになり、なんと先生方だけでなく50名近い学生さんも同席していました。会場を埋め尽くすような大観衆の中でプレゼンテーションしたのは初めての経験で、大きなプレッシャーも感じましたが、とてもいい経験になりました。他にも営業の仕事について講演したり、学生さんの斬新なアイデアに短時間でコメントするなど、石川先生には私自身が成長できる機会を数多くいただき、大変感謝しております。今後も、十文字学園女子大学様とはよきパートナーとして、末永く新たな挑戦ができれば幸いです。

丸山 高(営業本部 文教ソリューション部)